トスカーナ州
ランチョッラ社
キアンティ クラッシコ リゼルヴァ
レ マッセ ディ グレーヴェ DOCG
1999
イタリアを代表するワインのひとつにキアンティがありますと
以前に書きました。
フィレンツェ、シエナ、アレッツォ、ピサ、ルッカなどトスカーナ州の主要都市周辺一帯に指定されたワイン生産地を総称してキアンティと呼びますが、そのキアンティをまた細かく特定地域に分けて、キアンティ・クラッシコやキアンティ・コッリ・フィオレンティーニ、キアンティ・コッリ・セネーゼ、キアンティ・コッリ・アレティーニ、キアンティ・ルフィナ、キアンティ・モンテスペルトリなどと指定区域が決められています。
その中でももっとも古い地域をキアンティ・クラッシコと呼びますが、この古い地域とはメディチ家の支配の終焉が近づいていた18世紀にコジモ三世の後にトスカーナ大公となったレオポルド一世が各種社会改革の一環として、農地の整備を行いましたが、その時に、キアンティ・ワインの生産地として1)グレーヴェ・イン・キアンティ、2)ラッダ・イン・キアンティ、3)ガイオーレ・イン・キアンティ、4)カステッリーナ・イン・キアンティ、5)バルベリーノ・ヴァル・エルサ、6)カステルヌオーヴォ・ベラルデンガ、7)タヴェルネッレ・ヴァル・ディ・ペーサ、8)ポッジボンシ、9)サン・カシャーノの9つの地域を指定しました。
キアンティ地方のワイン生産は19世紀から20世に入るとますます盛んになり、キアンティの名前はアメリカやドイツなど海外でもイタリアを代表するワインの代名詞的存在になりました。そしてトスカーナ州のあちこちでキアンティを名乗るワインが誕生しました。
1963年にイタリアのワイン法、通称、D.O.C.が制定されるとキアンティワインはD.O.C.に認定されます。D.O.C.とはDenominazi one di OrigineControllataの略で、”統制原産地呼称”と訳されています。
そして特に優秀と認められた銘柄については、これにGarantita,”保証”がついて、D.O.C.G.に格付けされます。1984年にキアンティワインは全域でD.O.C.G.に昇格しました。ちなみに、イタリアで最初にD.O.C.G.に格付けされたのはピエモンテ州のバローロとバルバレスコで1981年のことです。
1924年にキャンティ・クラッシコ協会が作られ、そのシンボルとして”黒い雄鶏”がマークになります。これはキアンティの地域をフィレンツェとシエナの間で取り合ったときに、双方騎士を立てて、ニワトリの朝の第一声を聞いたら互いの方向に向かって歩き、ふたりの騎士が出会ったところまでを自分達の土地とすると決めました。
その時にフィレンツェは黒い雄鶏を選んで餌を与えずに暗い箱の中に入れておいたら、夜明け前にいち早く鳴き出したので、フィレンツェは早く進むことが出来て領地を多く確保できたと言う逸話がもとになっているそうです。
その騎士が出会った場所は現在もマッツェイ家のワイナリーがあるフォンテルートリと言われています。
ところで、キアンティを名乗るワインがトスカーナ各地に現れると、トスカーナ大公がキアンティと定めた地域の歴史と伝統を誇るキアンティ・クラッシコ協会の生産者の間では自分達は同じD.O.C.G.のキアンティとは別格であるという考え方が生まれ、とうとう1996年にキアンティ・クラッシコが特別扱いのD.O.C.G.に認定されました。というのも、同じキアンティでありながら、1,000円程度の安いものもあれば10,000円もする高品質のものも出てくるという状況で、D.O.C.G.の信頼性の問題も生じてきて、見直しが必要だったのです。
現在のキアンティ・クラッシコ協会の会長はガイオーレ・イン・キアンティのバディア・ア・コルティブオーノの代表者であるストゥッキ家ですが、キアンティ・ワインの基本形を作ったのは12世紀以来の名門貴族であるリカーゾリ家で、カステッロ・ディ・ブロリオのワイナリーを現代に受け継いでいます。
リカーゾリが当初キアンティとして作ったワインはサンジョヴェーゼやカナイオーロのほかにトレッビアーノやマルヴァジア・ビアンコなどの白葡萄も混ぜられていましたが、キアンティ・クラッシコは2005年以降、白葡萄の使用は禁止されました。また、サンジョヴェーゼ種100%でも認められるようになりました。
さて、イタリアのワイン法、D.O.C.やキアンティの説明が長くなりましたが、今日の主役は私が自信を持ってお薦めするキアンティの銘醸ワイナリーである、ランチョッラ社のキアンティ クラッシコ リゼルヴァ 1999年 “レ マッセ ディ グレーヴェ”です。本当に素晴らしいです。
葡萄はサンジョヴェーゼ、95%を主体に若干のメルロ、カナイオーロ、カベルネ、コロリーノを合わせて作られています。90年代は1990年、93年、95年、97年と最良年が繰り返し続きましたが、この'99年も他の年に勝るとも劣らないワイン作りには理想的な年となりました。
ステンレスタンクで発酵させた後に、オークのバリック(小樽)で12ヵ月間の熟成を行い、さらにボトリングした後6ヵ月間の壜内熟成を加え、合計、3年以上熟成させた後、出荷されています。
とても濃い紫がかったルビー色。
プルーンや乾燥フルーツの持つ濃密な熟成香。カカオの香りや黒胡椒やクローブなどのスパイシーさも感じます。その飽きることの無い深い香り。
そして、その香りに見合う芯のあるしっかりとしたボディと柔らかな酸と口の中にひろがるふくよかな甘みを感じる重厚な味わい。余韻もながく、優しく続きます。
豪快なステーキやじっくりと煮込んだシチューとあわせますと、極上のひと時を味わえるでしょう。もちろん、夕食後や休日にクラッシック音楽を聴きながらゆったりとしたリッチなひと時を過ごすときに、サラミやチーズ、オリーブなどとあわせて楽しむのもいいと思います。
後日また、このランチョッラ社のキアンティ・コッリ・フィオレンティーニ・リゼルバ1997と、ランチョッラ社の頂上に位置付けされているテリッチについてお話しますね。 gino
■このブログでご紹介しているワインはこちらのサイトからご購入いただけます
→
G-boutique
■『caffe gino田園調布』の公式WEBサイトはこちらです
→
G-caffe.com